camilyを便利に使おう

3つの質問に答えて、
自分にあった記事リストにしよう

会員登録はいりません

  • 1
  • 2
  • 3

2016年07月20日

母娘の感動的な再会を描くフランス映画『めぐりあう日』

子どもが誕生したときの、祝福と喜びでいっぱいの瞬間を覚えていますか?その成長を見守ることは幸せな反面、子育てのプレッシャーから不安を感じたり、家庭と仕事を両立する忙しさに追われてイライラしたり、そのことで罪悪感や孤独を抱えてしまったりする人も多いのではないでしょうか。

2016年7月30日公開予定の映画『めぐりあう日』は、そんな複雑な気持ちにそっと寄り添い勇気を与えてくれるような、理屈を超えた母娘の絆を描いた物語です。

複雑な母の心情を繊細に描くリアルなストーリー

港町ダンケルク。産みの親を知らずに育った理学療法士のエリザには、夫と息子ノエがいるが、自らの出生を知るために、ノエを連れてパリから引っ越して来る。しかし、実母が匿名を望んでいるために、なかなか手がかりがつかめない。そんなある日、ノエが通う学校で働く中年女性アネットが、患者としてエリザの療法室にやって来る。2人は治療を繰り返すうちに、不思議な親密感を覚えるようになるが・・・。

母娘の運命的な再会は、孤児として生まれ9歳で養女として引き取られたウニー・ルコント監督自身の人生を重ねて描かれています。

この作品で注目してほしいのは、時間を取り戻すように心を通わせていく親子の関係と、母であり娘であり妻でもあるエリザの一人の女性としての成長です。物語の展開とともに揺れ動くエリザの複雑な心情の変化を、実力派女優セリーヌ・サレットが繊細に演じています。また、情感漂うフランスの景観と音楽がさらなる感動を誘い、胸をしめつけるような美しいシーンが多いことも印象的です。知らず知らずのうちに引き寄せられる母と娘とその息子。血のつながりの力がもたらす理屈では説明できない感動的な結末は、きっと観るものの背中を押してくれるはずです。

「あなたが狂おしいほどに愛されることを、私は願っている」

「あなたが狂おしいほどに愛されることを、私は願っている」は、『めぐりあう日』の原題となっている言葉です。もとは作家アンドレ・ブルトンの著書『狂気の愛』の巻末で、娘に宛てられた手紙の一節。実の親を知らずに育ったウニー・ルコント監督は、この言葉をお守りのようにして生きてきたと語っています。

親から無条件に愛されたという子どもの頃の温かい記憶は、人生の土台となり、生きる力となるものです。エリザの母親探しは、そんな自分のルーツを探し求める旅でもあります。親子の関係を取り戻していくかのように、理学療法を通して肌と肌を触れ合う親密な時間には、互いを強く求めてきた切ない想いが言葉以上に語られます。露わになった母の背中を映し出すスクリーンからは、素肌の感触や呼吸の温もりが生々しく感じ取れ、誰もが自分の母の姿を思い出さずにはいられないのではないでしょうか。親と子が過ごす限られた時間が人生にとってどれだけ重大なものであるのか、家族への愛おしさが何倍にもなって込み上げます。

風景と音楽に映し出された心を読み取る

この映画の見どころは、北の港街ダンケルクの街並みや海岸、橋や運河などの澄みわたるような風景や、ピアノとトランペットが奏でる優しくささやくような音楽にもあります。エリザやアネットの心の内が、そこに映し出されていると思って観てみてください。フランス映画に抵抗がある人も、その静かな展開の裏に隠された表情豊かな描写に気付き、一つ一つのシーンが意味を持って感じられるはずです。

たまには毎日の生活から一歩離れて、映画でしか味わえない贅沢な時間を過ごしてみてはいかがでしょう。言葉では解決できない複雑な気持ちが、すっと楽になることもあります。美しい映像や音楽に触れながら、母である前に一人の女性として、自分を振り返ってみるのもいいかもしれません。
「めぐりあう日」
監督:ウニー・ルコント「冬の小鳥」
出演:セリーヌ・サレット、アンヌ・ブノワ、ルイ=ド・ドゥ・ランクザン、フランソワーズ・ルブラン、エリエス・アギス
配給:クレストインターナショナル (c)2015 - GLORIA FILMS - PICTANOVO
公式サイト crest-inter.co.jp/meguriauhi
7月30日(土)より岩波ホール他にて全国順次公開


(文・星野 文香)
他の記事を読む

子育ての記事

    ©camily 働くママとパパの仕事と育児をもっと自由に