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2016年10月11日

「私の子は発達障害かも」と思った時に相談できる場所がほしい。保育園に求められる”保護者支援”とは?

提供元: ダ・ヴィンチニュース

発達支援チーム 田中雅子さん

――「気になる子」や発達障害のあるお子さんの保育に携わっていると、親御さんとの話し合いが必要になることも多そうですね。

田中さん 保護者の方との連携はとても重要です。発達支援チームができることは保育士を通じての“間接支援”なんですね。私たち発達支援チームは、子どもを理解し保育の中で支援方法を実施できるように保育士と話し合います。療育の場ではありませんが、子どもにとってより良い支援や保育をするには、保護者の方とやりとりの必要性が生じてきます。

 お子さんに発達障害があると診断を受けられた保護者の方は、そのことを受けとめていかなければならないです。でもその前の段階の「気になるお子さん」の場合、今は保育園でなんとか過ごせていても、将来的に学校へ通うことを考えると保護者の方にお子さんの発達の特性を理解してもらえるように伝えたほうがいい場合が、どの園でも出てくるんですね。

 「保護者の方に発達面が気になることをどう話せばよいでしょうか?」という相談が多いので、最近、保育士に向けた保護者支援の研修をしたばかりです。保護者の方にもいろんな考え方、生活がありますので、これは本当に難しいんですね。たとえば療育センターにつなげたほうが、そのお子さんにとっていいケースもたくさんあります。でも保護者の状態によって、伝え方や伝えるタイミングを慎重に考えなければなりません。

――発達障害の理解が進んできた今の世の中では、早期発見、早期療育とよく言われているようですが……

田中さん 確かにそれも大事だと思うのですが、毎日お子さんを育てていくのは保護者の方なので、そのお子さんの障害を知ったことでショックを受けて子育てする気力をなくしてしまったり、最悪の場合、虐待してしまったりすることもあるのです。我が子に発達障害があるということを受け入れていくことは、本当に人それぞれなんですよね。

 保育士がお子さんへの支援を示すことで、保護者の方の理解が進むこともあります。たとえば保育参観の予定が気になってパニックを起こしたお子さんに、お母さんが来る日をカレンダーに書いて見せたら落ち着いたことがありました。そのことを知った保護者の方が、この子は他の子と違う支援を受けながら保育園で過ごしているんだと理解して、先々のことを考えて専門機関に相談したこともありました。

――早い段階で、発達障害に関する理解を深める機会を得られれば、自分の子どもの育てにくさが気になったとき「もしかしたら……」とその可能性を考えるきっかけになりますよね。他の発達障害の子どもへの理解も進むと思うのですが、欧米に比べると日本はその対策が遅れているようです。

田中さん 最近ようやく日本でも発達障害に関する情報や専門機関が増えてきましたが、確かにまだまだ遅れている面はあると思います。ただ私は、子どもを授かったお母さんがあまり早い段階から常に発達障害のことを気にしすぎるのもどうかと思うのです。最初の子育てのスタートは、子どもは無条件でかわいいと思って育てることが大切です。最初から、「私の子は発達障害があるのかしら?」と心配しすぎていたらお母さんもストレスがたまりますし、子どもとの関係もギクシャクしてくる可能性もあると思うんです。

 知識や情報は大切ではありますが、やみくもにふりまわされたり不安をつのらせるものではあってはいけないと思います。子育てに不安や心配はつきものですので、身近な自治体などの相談機関は必要だと思います。本当に困ったときに必ず相談できる場所があると思ってもらうことが一番大事です。

 そういう意味では、保育園も同じです。お子さんや保護者と毎日顔を合わせている保育士は今、ソーシャルワーカー的な役割が高まってきています。ですからお子さんの発達に気になることがあっても、様子をみながら必要に応じて声をかけていきます。保育園もやはりお子さんや保護者の方を見守りながら、何かあればここに相談できると思ってもらうことが大事だと思っています。

――その受け皿となる保育士さんたちの精神的な拠り所が、発達障害支援チームなんですね。10年間ほど経験を積んできて、チームの活動が実を結ぶことも増えてきたのではないでしょうか。

田中さん もちろん至らないところはたくさんあると思います。それでも数カ月後に様子を見に行って、お子さんが落ち着いた生活をしていたり、表情が穏やかになっていたりすることはよくありますね。相乗効果で保育士もいい顔になっているのを見るとやはり嬉しいです。今までの活動を通して思うのは、発達障害と一口に言ってもその子どもによって特性はさまざまなので、その本質をしっかりみて理解することが大事だということです。危険な行為はもちろん子供に伝えます。保育士が本人の本質を理解できればさまざまな場合で支援が考えられます。苦手なことの支援だけでなく、その子の得意なことを伸ばしていくことが何より大切だと実感しています。わかりやすい保育は他のお子さんたちにもいいことなんですね。そういった積み重ねを園内をはじめ社内全体でで共有して現場にまた還元していくことは、非常にいい環境だと実感しています。

――発達支援チームの活動を10年続けて見えてきた課題はありますか?

田中さん 発達支援が必要なお子さんを一緒に保育する統括保育の現場では、より一層の保育力が問われます。私たち発達支援チームは、子どもの発達や障害についての専門的なことだけを伝えるのではなくて、供に保育の中で集団活動と個別支援をどう共存させていくかを常に考えていけるよう、保育についてのより学ばなければならないことも課題だと感じています。また、増加する保育園に対し、巡回相談が十分に満足してもらえるほどではないという現状もあります。そのために、私たちは発達支援に関する研修で、より多くの保育士に学んでもらう体制づくりもしています。必修と自由選択の研修がありますが、自由選択の受講生も多く、熱心に質問する真摯な姿に、現場保育士のサポートをして、より良い保育、その延長線上に発達支援が実現すると考えています。

――この9月には、集団生活が苦手なお子さんと保護者をサポートしながら子どもの発達を促す「子育て支援室 すくすくぷらす」もオープンされました。

田中さん 「子育て支援室すくすくぷらす」は、集団のなかで過ごすことが苦手なおこさんとその保護者への支援を行い、子どもの発達を促す教室です。これまで「すくすくアスク相談室」で個別プログラムを提供してきました。「子育て支援室すくすくぷらす」では、個別指導クラスに加えて、「わくわくクラス」「ソーシャルクラス」といったグループクラスも開催、開室日も大幅に“ぷらす”することで、より充実した支援体制を目指します。お子さんへの直接指導に加えて、保護者の子育て相談や、各種アセスメントも受け付けます。利用するお子さんが通う保育園・幼稚園・小学校といった日常生活の場との連携を大切にし、様々な角度から子どもたちがより良い日常生活を送れるようにサポートします。」

青柳さん 当社は子育て支援事業最大手の会社ではありますが、最大ではなく最高の保育事業者であることを目標にしてきました。今後もより質の高い保育サービスを提供するため、できることはどんどんチャレンジしていきたいと考えています。

取材・文=樺山美夏


◆「どうしてそうなの?」と感じたときに読む本
(株)日本保育サービス 発達支援課調査研究チーム:著編、汐見稔幸、稲田尚子:監修

保育園、幼稚園――子どもが最初に出会う「集団生活」の場。子どもたちは保育園、幼稚園でどんな生活をしているのか。子どもは初めての「集団生活」の場で様々なつまずきを体験します。この本の前半では、様々なつまずきを絵本にしてわかりやすく取り上げます。*ウチの子は園で朝の支度(タオルやコップを出し、荷物をロッカーに入れる)ができない *ウチの子は先生の話を聞いていない *ウチの子はほかの子どもと遊べていないetc
本の後半では、そうした子どものつまずきの「どうして?」を解き明かします。何故つまずいているのか。理由がわかったら、お父さんお母さんは家庭で子どもをどうサポートしたらよいのか――それが見えてきます。
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