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2016年04月29日

言いたいことはお母さんを経由して言う。二人きりになると話すことがない…。父と娘の“あるある”

提供元: ダ・ヴィンチニュース

『オトーさんという男』(益田ミリ/幻冬舎)

 世の中の父親というのは得てして娘に甘いと聞く。息子には許さないわがままを聞いてあげたり、欲しがれば何でも買ってあげたり、挙句の果てにはほかの男にとられたくないと結婚に反対したり。娘の方も父親を気持ち悪いと言いつつ、思春期を過ぎればなんでも相談できる仲良し父娘を満喫しているらしい。そんな溺愛されてきた女性の話を聞くと、私は少しふてくされた気持ちになる。父親と決して仲が悪いわけではないが甘えることなどできず、父親と私の間にはいつも多少の緊張感が漂っていたからだ。私のようにビミョーな父娘関係にある人は、案外多いのではないだろうか。

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 女性に人気のイラストレーターでエッセイストの益田ミリさんも、父親に対して複雑な気持ちを抱えてきたようだ。『オトーさんという男』(益田ミリ/幻冬舎)で、その思いをエッセイと漫画でふんわりほっこり吐露するのだが、その的確かつ鋭い描写は経験者には「わかる~!」のオンパレードだ。

 まず、父親が娘に言いたいことがあるとき母親を通すというのは、まさに“あるある”だ。例えば、「もう少し早く帰るように言っとけ!」と父親が母親に言う。「『言っとけ!』もなにも、うちの家6畳と4畳半のふた部屋しかないんだから、ふすまの向こうにいるっつーの」と益田さんはツッコむ。父親は言いたいことはあるけれど、嫌われたくはないのだ。また、益田さんが風邪で寝込むと父親は機嫌が悪くなり、なぜかメロンを買ってきたという。「心配するという表現が下手なオトーさん」と益田さんは説明する。おそらくいずれのエピソードも父親に溺愛されて育った女性にはまったく意味がわからないだろう。だが、我が家もまったく同じ状況にあったので、共感することしきりだ。私も当時はひたすらそんな父親が嫌で、小学生の頃はびくびくし、中高生になると腹を立てていた。しかし、だからといって父親を心底嫌いになりはしなかった(軽く思うことは何度でもあった)。こんな不器用な父親でも、たまにその愛情をひしひしと感じることがあるのだ。

 益田さんは、幼稚園で歌った「さよなら」という曲がお気に入りで「これで今日はお別れにしましょ、さよなら、さよなら」と、家のオルガンで一生懸命練習していた。すると、父親に叱られたらしい。「お父さんは、お前とさよならしたくないからやめてくれ」と。たかが童謡に何を本気になっているのかと、ほとんどの人は呆れかえるだろう。だが、これこそこの種の父親のなけなしの愛情表現なのだ。似たような父親を持つ娘として、大人になった今は、益田さんのエピソードをニヤニヤしながら読める。そして、当時のどうしようもなく愛情表現が下手くそだった父親を温かい気持ちで思い出すことができる。

 つまり、父親は確かに娘を愛している。だが、その表現の仕方がわからない。嫌われたくないものだから、余計なことばかりして空回りをする。面倒な父親を持った娘はまったく大変だ。けれど、こんな父親は娘との距離がそう簡単に離れはしないとも思う。父親もなんとか娘に近づこうと苦労し、少しずつ親として成長していたのが今となってはわかるからだ。父親と二人きりになったとき、昔よりも少し緊張感がほぐれたことに、「互いに大人になったなぁ」などと偉そうに思う今日この頃である。

文=林らいみ
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