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2016年05月22日

神田うのが力説する「『母親』は目立たず、前に出ず!」の従順規範

提供元: messy|メッシー

『女も殿であれ! UNO式サクセスルール』(講談社)

タレントの神田うの(41/以下UNO)が上梓したエッセイ本『女も“殿”であれ!UNO式サクセスルール』(講談社)にからみ、5月15日、都内で発売イベントが行われた。この2日前にはベッキーが『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』(TBS系)に出演し、2016年上半期最大のスキャンダル・ゲス不倫騒動を詫びている。イベント前の囲み取材で相手の川谷絵音について尋ねられたうのが「お名前の通りの方。反省していただきたい」と厳しい一言を放ち、翌日のスポーツ紙を賑わせた。

UNOは「こういうタイトルつけちゃうから、“いけ好かない女”って男に嫌われちゃうんだよって言われた」と夫に苦言を呈されたことを囲み取材で語っているが、いやいや、目を引き興味をそそられるとても良いタイトルではないか。“殿”って何よ!? と誰もが思うだろうし、“サクセスルール”などという自己啓発本のようなワードチョイスもグッと来る。女性としてのUNOに興味のある読者のほかに実業家としてのUNOに興味を持っている読者に対しても訴えかけているようだ。内容もそのニーズに応えるかの如く『独自の確固たる価値観を大切にしている彼女が「ビジネスウーマン」として、「ワーキングマザー」として。そして「神田うの」として、大事にし続けている「働き方のこだわり」や「モットー」、「運の掴み方」など……。成功の秘訣について語ります!』(Amazon紹介文より)とある。早速目を通してみた。

娘のために「地味な母親」をやる

パンスト御殿で知られるUNOは、ウエディングドレスブランド「シェーナ・ドゥーノ」のデザイナーも務めており、その成功の秘訣等が第一章で語られているが、messyとしての注目どころはやはり第二章『母親としてのUNO式ルール』であろう。和痛分娩を選択したこと、育児のストレスは仕事で発散しつつ、仕事のストレスは育児で発散すること、今年5歳になる娘に食べさせる食事には最大限気を使っている……など、ママとしてのUNOの属性がよく分かる。また本書では触れられていないが、ブログでは母乳育児であることをたびたび発信していた。

娘が生まれてからのUNOは『娘のために』変わった、らしい。先にも紹介した食事について。曰く、UNOが幼少期からいたって健康でアレルギーもなく、肌トラブルに見舞われた事もないのは母親のおかげだと感謝しているから「今度は私が娘に、母と同じことをしてあげる番(中略)添加物がたくさん入っているものは食べさせないようにしていますし、料理に使う野菜は、できるだけオーガニックを選びます。(中略)やっぱり一番大切なのは、安全性。この部分には、そうとう気を使って」いるという。別のページでも「ママの味を伝えたいから料理だけは絶対、人任せにはしない」「『シッターさんの料理の味しか知らない子供はかわいそ過ぎる』と私は思う」と、食への気合いはすごい。ページもけっこう割いている。よその子供を「かわいそ過ぎると思う」と決め付けるのもまぁ乱暴が過ぎるにしろ、UNOにとって「娘は偉大。私を変えた唯一無二の存在です」。娘が産まれたことで奔放な自分の生き方が改まったと綴ってもいるので、『娘のために』頑張りまくる気持ちも分からなくはない。

しかし、ストレートな物言いで芸能界に存在感を示し、ビジネスの辣腕をふるってきた“デキる女”のUNOが、こと育児に関する場面になると、没個性の黒子に徹しているというからさすがにビックリする。

今年5歳になるUNOの娘は、プレスクールを経て名門インターナショナルスクールに通っている。UNOは「我が家の教育方針は『人はそれぞれ違っていて当たり前』」と説く。

「往々にして日本の学校では、みんなと同じことができる子が良し、とされているような気がします。(中略)『右向け右』と言われれば、みんな揃って右を向く。それが悪いと言っているわけではありません。(中略)ただ、我が家の方針としては、娘なりの個性を伸ばしていければ、と」

「みんなと違っていたって、ぜんぜん構わないのです。むしろ、人は違っていて当たり前。『世界に一つだけの花』ではないですが、みんなそれぞれに、その人にしかない素敵なところがあるんだよ、ということを、私は娘に教えたい」

このような思いからUNOは娘をインターに通わせることにしたのだという。人種も国籍も異なり、人はそれぞれ違うもの、が当たり前になっている環境だから、親がテレビに出る職業だからといって、奇異なまなざしを向けられることもない……と綴っている。

ところがこのわずか7ページ後でUNOは「『いかにダサくするか』が子供の学校での私のファッションテーマ」だと、“ママとしての心得”を説く。

「子供の世界では、ファッションもまた、目立ちすぎてはいけないんですね。ということで、娘の学校では『目立たない』をモットーに、自分のオーラを消して『地味』を貫く事にしています」

「ビジネスの世界では大人が主役。みんながそれぞれ主役で、いろいろなカラーの人がいてもいいけれど、学校では子供が主役です。お母さんに個性がある必要はないのだから、必然的にお母さんたちの服装も地味になる。そこに私も埋まってしまおう、と」

「『買いたくもないものを買うのがこんなにも苦痛なのか……』と思ったけれど、『ママの制服だと思いなさい』と母に諭され、超シンプルな紺色のスーツをデパートで買いました。太ーい5センチヒールのパンプスも買いました。ピンヒールなどもってのほか。歩くたびに、子供たちが遊ぶ校庭にポツポツと穴が空いて、大ひんしゅくを買ってしまいます」

UNOよ、「みんなと違っていたって、ぜんぜん構わない」といいつつ、娘のために「自分のオーラを消して『地味』を貫く」一体どっちなんだ……。おそらく、「“自分の子供は”みんなと違っていたって、ぜんぜん構わない」、だが「“娘が奇異の目で見られないようにするため”“自分は”自分のオーラを消して『地味』を貫く」ということなのだろう。まあそれでも矛盾しているが……。娘としては、自分の通う学校でいつもと違う地味な装いをし、よその母親たちと完全に同化している母親を見ると“やっぱりみんなと違っていたらダメなんだ”と混乱するのではないだろうか。

学校という場所でいつも通りの格好をしていて、娘にどのような迷惑がかかるのだろう? せっかく「親がテレビに出る職業だからといって、奇異なまなざしを向けられることもない」インターに入園したのに、服装やら何やらで浮かないように気を使うUNO。いわく『娘の世界では「神田うの」は鍵をかけてしまっておかなきゃ!』と肝に銘じているそうで、なぜかというと娘のプレスクール時代、UNOはどうしても納得できないことがあり大勢の保護者がいる前で園長先生に進言したのだという。すると園長はワナワナ屈辱に震え、周囲のママ友たちはドン引きし、UNOは実母から「娘の足を引っ張るようなことをするな!」と、こっぴどく叱られた。そしてUNOは誓った。『娘の世界では、私は「神田うの」ではなく、「こうのちゃんのママ」に徹し、前に出ないように、出ないようにしています』。

母親は先生を立てるもの

実はその「園長先生ワナワナ事件」については、本書の元となった「25ans」(ハースト婦人画報社)の連載コラムで詳しく書かれており、その雑誌発売当時も物議を醸したが、今回の本でもUNOは持論をガンガン展開。とことん【働いていても、お母さんは、お母さんらしい振る舞いを!】と啓蒙に務めている。そう、UNOは「女性が働く」ことに大賛成で(本人が仕事大好きであるためだろうが)、別の項では「夫と財布は別のほうがいい」とすすめているのだが、こと「母として」になると……。子供の世界の登場人物、すなわちお稽古や学校の先生、ママ友らと接するときは、必ず「仕事をしている時とは別の顔」で対応すべきだと力説している。そうしなければ子供が“浮いて”しまい、イヤな思いをするのだから、と。

「子供とお母さんと先生との三者面談で、つい仕事のクセが出て、メモを取りながら先生の話を聞いてしまった、おっとりしている先生の進行がもどかしくてたまらず、ついには自分が会話を仕切ってしまった……」

「『先生は絶対』というお母さんが大部分を占める中で、先生を差し置いてその場を仕切ったり、納得いかないことなどを先生に対等に伝えるワーキングマザーが『面倒な人』と思われて、モンスターペアレンツのレッテルを貼られている場合もあるんじゃないのかな」

「(子供が嫌な思いをしないように)母親は、子供の学校では、目立たず、奥ゆかしく、先生を立て……というのが正解のようです!」

うーん……。UNOやUNO周辺の保護者たちは、「先生は絶対」であり、保護者と教員が対等な関係を結ぶことはありえない、と考えているんだろうか? それが子供のための「正解」だと思い込むのは危険なのでは……。一般からは、我流を貫く奔放タイプと見られているであろうUNOでも、こと育児となると、目立たず奥ゆかしく他人を(たとえ納得いかないことがあっても)立てるルールに従わざるを得ないのか。そんな学校環境やママルールって、異常ではないのだろうか。UNOならばたとえ子供が浮いても「あなたはあなた!」と激励し、我が道を歩ませることが出来そうだが。いずれにしろ、神田うのともあろうものが、母親規範に則られて、他のママタレと大差ない「良いママ」アピールに終始している現状にはママ界の闇を見せつけられた気分だ。
(ブログウォッチャー京子)

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