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2016年08月24日

離婚して子供の親権を得るために「家事育児」に取り組んだ夫/イクメン・杉山さんインタビュー【1】

提供元: messy|メッシー

 2年前に発売された、コミックエッセイ『新ニッポンの父ちゃん~兼業主夫ですがなにか?~』(主婦の友インフォス情報社)は、タイトル通り、家事も育児も仕事も頑張る“ジョージくん”を主人公にした実録マンガだった。作者は、放送作家・主夫・バーの経営者として多忙な毎日を送る、杉山錠士さん(39歳)。アパレルに勤務しデザイナーとしてフルタイムで働く4歳年下の妻・アヤコさんと、中学1年生の長女(なっちゃん)、保育園に通う次女(たまちゃん)の4人で東京に暮らしています。すっかり社会に浸透したように見える「イクメン」というワード、しかし一方で、長時間労働の横行する会社はまだまだ多く、「育児はやっぱりお母さんが」という社会意識もあり……今、私たちは時代の大きな転換点を迎えているといえるでしょう。

 8年ほど前から「兼業主夫」を名乗り、仕事も家事育児も飲み会も家族とのコミュニケーションも、うまく回しているように(傍からは)映る杉山さんですが、実際のところはどうなのでしょうか。ご自身も週に1回はマスターを務めている、品川区旗の台にあるバー「旗の台BAL cero」でイクメンをテーマにしたインタビューを敢行したところ、結果的に、奥様との結婚、離婚危機など夫婦関係に焦点の当たる内容になりました。全3回に分けてお送りします。

「ありがとう、ごめんね」を言うのが苦手な人と結婚して

――まず、定着してきている「イクメン」という言葉に対して、杉山さんはどう感じていますか?

杉山 僕はNPO法人「イクメンクラブ」にも所属しているのですが、この言葉は2010年頃から広まっていったように思います。当初は、「家事をする夫」っていう意味じゃなくて「育児を楽しむ」ってニュアンスの言葉だったと思うんですが、でも今って、ちょっと使われ方が変わってきているような。

――といいますと?

杉山 世の中の「イクメン」のイメージが、家事出来て、育児出来て、仕事も出来て……みたいな感じで、ハードルが高い気がします。それは、サラリーマンに求めるのは、ちょっと可哀想かなぁって思いますよ。

――奥様のアヤコさんは、「イクメン」という言葉をどう捉えているんでしょうか。

杉山 「イクメン」より、僕が「主夫」って名乗り出した時に、「私が何もやっていないように見えるじゃない」。って、すごく嫌がってました。

――0対10じゃないってことですよね。家事の分担について教えてください。

杉山 食事づくりや掃除は主に僕がやっています。妻は次女のお迎えと、朝食づくり、長女のお弁当づくりを最近やるようになりました。ただ、結婚してからずっと、洗濯は妻の担当ですね。洋服はあまり触らせてもらえないんですよ。妻は洋服が大好きでデザイナーになり、アパレルで働いている人なので、服の扱いにはこだわりを持っている。それはドライ、これはこういう洗い方した方がいい、とか。僕のTシャツも「そんな洗い方したらすぐ傷むじゃん」って怒られるし、たまに僕が洗濯物を干したりすると、「どうしてこういう干し方しちゃうの?」って責められたりしますね(苦笑)。そこは洋服のプロには適わない。でも、「せっかく(干す作業を)やったんだから、そう言わないでよ」って言うと「頼んでないじゃん」って喧嘩になっちゃう。

――いわゆる「カジハラ」みたいな……そうした喧嘩も積み重なると深刻な不満にはならないんですか?

杉山 それは不満ですよね。でも、途中で「出来ないものを、出来るように」しようとは思わなくなりました。妻はそういう人なんだ、って理解する。

――「出来ないもの」というのは?

杉山 15年一緒にいてわかったのですが、妻は「ありがとう、ごめんなさい、お願いします」この3つの言葉を伝えるのが苦手な人で、それも親しい相手に対して特に苦手なんですね。ホームとアウェイがはっきり分かれていて、アウェイ(職場など)では一般的な常識がすごくあるんだけど、ホーム(家庭や友人)になっちゃうと、ものすごく意識しないと出来ない人だから……「家に帰ってきてまで、何で気を遣わなきゃいけないの?」って……昭和のお父さんみたいな人かなって。

――「こういう人だから仕方ないのよ」と思うようになられたんですね。そんな杉山さんは、「昭和のお母さん」みたいでは。おいくつの時に結婚されたんですか?

杉山 結婚したのは、彼女が21歳で、僕が4歳年上だから25歳の時ですね。妻はまだ学生でした。デキ婚ではないですね。

――よろしければいきさつを教えてください。

杉山 出会ってすぐ付き合い始めて、彼女が実家から、1Kで1人暮らししていた僕の所に転がり込んできて、同棲して1年くらいで結婚しました。当時は若くてまだ結婚も考えていなかったし、彼女も結婚は30歳を過ぎてから、みたいなことを言っていたのですが……。ある日、自分の母親と結婚についての話をしたんだ、みたいなことを彼女に話していたら「それってプロポーズ?」みたいな流れになって。まあそれもアリかなって(笑)多分、1年くらい一緒に住んで、僕と一緒に暮らすイメージができていただと思います。僕自身、学生の頃から放送作家として仕事はしているけど、会社員みたく安定しているわけじゃないし、何より、彼女と価値観がだいぶ違うのはわかっていたし、葛藤がありつつ、結婚しようかどうか悩んでいるところもありました。でも決心した理由のひとつとしては、僕の親父の体調があんまり良くなくて。彼女は親父に会ったこともあったし、親父が知らない女性と結婚するのは嫌だなと思いました。出来れば親父が生きているうちに、子供を見せたいって気持ちも多少あって、結婚しようかな、って。彼女の就職が決まってから籍を入れて、入社する頃には結婚して彼女の姓が変わりました。

離婚を考えた引き金

――若くしてご結婚、間もなく第一子となる長女さんが誕生して。でも、『新ニッポンの父ちゃん~兼業主夫ですがなにか?~』には、杉山さんは“離婚”を常に考えていたとあります。

杉山 結婚して15年になりますけど、大きい不満は、6~7年前がピークでした。長女が5歳の時、僕が仕事量を減らしてほとんどの家事をするように切り替え、「主夫」を名乗り初めた頃です。当時は、自分がやった家事の記録をメモっていましたね。

――なぜですか?

杉山 離婚したい気持ちは強いけど、調べてみると、父親が親権を取るのは難しい。友達に相談した時に、とりあえず記録はつけておいて損はないと思うよって言われて。“○月○日に何をして”って、走り書きでばーっと書いていたんですよ。

――当時は、奥様からすれば、夫がまさかそんなことを考えてるなんて。って感じなんでしょうか。

杉山 いやいや、離婚の話は何回も出してますからね。僕が離婚準備をしていることを、うすうす気付いていたかもしれません。本には書いてないけど、本気で離婚の引き金になった事件があって。

――どんな事件があったんですか?

杉山 僕、もともと指輪をつけているのが苦手で。整髪料をつける時も、ベタベタするのがイヤなので結婚指輪を1回外しますよね。そのまま洗面所に置きっぱなしにして妻からよく怒られていたんです。仕事でパソコン打つ時も気になって外すので、つけていることが面倒くさかったけど、結婚当初は無理につけてました。6~7年前のある時、妻に浮気を疑われたんですよ。妻は「この人最近冷たいから、絶対外で浮気しているんだろう」って疑いを持っていた。それで僕の左手を見たら指輪してないからクロだ!って。

――でも、気になっちゃうかもしれないですね、急に外していたら……

杉山 それが、違うんですよ。その時点で指輪を外してから5年経っているんです。

――えっ、5年もつけていなかった?

杉山 指輪のことを問い詰めてきた妻にも、「待って。まず言わせてもらうと、5年してない」と。昨日今日外したわけじゃないんですよと言ったら、「えーっ!?」って驚かれて。「そもそも旦那が5年間、指輪をしていないことに気が付かない奥さんってどうなの?」「アヤコが指輪を外したことに、俺が5年間気付かなかったら、そんなに興味を持たれていない相手と一緒にいるのどう思う?」と逆に問い詰めたら、ぐぬぬ……と。しかも……それ以上に僕が驚いたのは。そもそも、その指輪を5年前に外したとき、妻に「外します宣言」してるんですよ。

――えっ、なのに忘れられて?

杉山 えぇ。その5年前、やっぱり家事のことで大喧嘩した日があって。家事の分担について話し合いをしたのに、結局僕がやることが増えてきて「話し合いで決めたじゃん」、「その時はそう言ったけど、出来ないもんは出来ないんだよ」と口論になり。僕はそのとき、「もう奥さんとか夫とかの前に、人としてどうかと思うし、パートナーとして成立してないから、もうあなたを妻として認めません。妻として認めるまでは、指輪は外します。あなたにどんなに頼まれても、はめません」って言って、指輪を外しているんですよ。

――その大喧嘩を、奥様は忘れていた?

杉山 はい。その指輪外す宣言は妻にとってかなりショックだったみたいで、「ごめんなさい」って泣いて謝っていたんですが、5年経過してみれば、もうまったく覚えていなかった。覚えてないってことは、あのときの喧嘩で泣いて謝罪したのは、完全にその時に許してもらうためのパフォーマンスだっただけじゃないか、と。これでさすがに僕もキレてしまいました。

――その事件から、離婚について着々と準備を?

杉山 そうですね。よく、結婚するより離婚する方がパワーがいるっていうじゃないですか。それを考えた時に、自分の覚悟が決まるまで、もうちょっと、もうちょっと、って先延ばしにしてたんですが、そんな中で妻に「もし離婚して、親権は母親になった時、俺のことは子供にどう説明する?」って聞いてみたんです。そしたら「死んだことにする」って言われて。2度と長女に会えなくなるのは嫌だし、これは甘い考えで離婚したら駄目だから、なんとしても親権を取れるように準備をしよう……と、メモを取るようになっていたんです。

<続くパート2では、離婚へ向けての準備中……なんと、妻・アヤコさんの妊娠発覚!杉山さんが2人目の誕生前に気付いたことが、夫婦関係の修復へと導きます。それは一体どんなものだったのでしょう?>

☆月イチ開催予定の「イクメンcero」についてのお問い合わせもコチラまで!

■旗の台BAL「cero」
東京都品川区旗の台5-6-10 1F
090-7281-1364

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