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2016年06月16日

熊本地震から2カ月、出産前後の女性が知っておきたい妊産婦専用避難所とは

提供元: マイナビニュース

熊本地震の本震発生から2カ月。熊本県内ではいまだ長期にわたる避難生活を余儀なくされている人たちがいる。中でも妊婦や乳児のいる母親たちは、感染症の不安や子どもの泣き声・授乳に関する周囲への気遣いなどで大変な生活を強いられている人が多いだろう。

そんな妊産婦たちの災害時ケアをいち早く取り入れた自治体がある。東京都文京区では4年前、妊娠中の女性と1歳未満の乳児・その母親のみを対象とした「妊産婦・乳児救護所」を設置。自治体として初めての取り組みで、あわせて960名が受け入れられる体制を整えた。どうしてこのような避難所を設置するに至ったのか。背景や現在の運用状況について区の担当者に聞いた。

○東日本大震災を受けて必要性を痛感

文京区の「妊産婦・乳児救護所」は、2012年に設置が決められた妊産婦と乳児専用の避難所。専用の施設であるため、妊婦は安心して出産に臨め、乳児を抱えた母親も周囲の目を気にすることなく子どもをあやしたり、授乳したりできるのが特徴だ。受け入れ場所は、跡見学園女子大学、貞静学園短期大学、日本女子大学、東洋学園大学という4つの大学。「不特定多数の人の受け入れは難しくても、女性限定なら協力できる」などの理由から、女子大を中心とした学校が支援を申し出た。

災害発生時に区を訪れていた人など、区民のみならず幅広く受け入れるという同避難所。なぜこのような取り組みを実施するに至ったのか。担当者によれば、きっかけは東日本大震災の支援に駆けつけた区の職員の声だったという。「派遣された職員の多くが避難所運営に携わりました。そこで避難所生活を送る妊産婦の現状を知り、ケアが必要だと感じたのです」。さらに医師会からの提言、NPO法人の働きかけなどがあり、実現に至ったとのことだ。

加えて同区は環境にも恵まれていた。区内には大学が多く存在し、助産師関連の施設や大学病院が充実していたため、協力が得られやすかったという。発災時には助産師が派遣されるほか、出産がスムーズにいくよう、大学病院とも提携している。

○分娩セットやアレルギー対応粉ミルクも

備蓄品も食料や水に加えて、妊産婦に特化したものがそろえられている。「一般の粉ミルクに加え、アレルギー対応の粉ミルクもあります。オムツなどの必需品や、その場での出産が必要になったときに使える"分娩セット"も用意しています」とのこと。学生ボランティアの協力を想定している施設もあり、支援は手厚い。

また受け入れ先となる学校のうち跡見学園女子大学では、助産師会や警察、それに区の職員などが参加する避難所開設訓練も実施されている。「日頃から関係者と横のつながりを作っておくことが大事」と担当者。現在も、避難所開設マニュアルの検証を行ったり、訓練の充実を検討したりしているという。

○発災してから用意しても間に合わない

一方で課題となっているのは、同避難所の周知。妊娠・出産・育児の期間は短く、支援が必要となる対象者は日々変わっていくからだ。そのため今後は、母子手帳を受け取りに来た女性たちに、施設を紹介するチラシを配るなどして啓発を進めていく予定となっている。

「熊本地震の様子を見ていても、時間がたつにつれて避難所のニーズが細分化されていると感じる」と担当者。発災時は命が助かることが第一だが、その後は「生活」が続く。「感染症を避けるため、妊婦は生活における衛生面が非常に大事」など、事前に知識があれば、スムーズな支援につながると考えていて「災害が起きてから用意しても間に合わない」との思いを強くしたとのことだ。

文京区によれば、同避難所の設置を決めた以降、全国各地の自治体から多くの問い合わせがあり、国レベルでも災害時の妊産婦に対する支援について検討が進められているという。気象庁の情報によると、6月16日の今日も北海道函館市で震度6弱の地震が発生している。自治体や国のこれらの動きに敏感になっておくとともに、自分たちでもミルクの備蓄など日頃の備えを意識してみてはいかがだろうか。
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