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2016年06月23日

小室淑恵が語る、36協定の上限設定"80時間"が可能な理由

提供元: マイナビニュース

政策分析ネットワークはこのほど、「経営者が語る、長時間労働・少子化からの脱却」と題した緊急政策シンポジウムを開催。この中で、コンサルティング会社、ワーク・ライフバランスの小室淑恵代表取締役社長が「人口問題と長時間労働の関係性・政府と企業の動向について」をテーマに講演した。

講演では、長時間労働是正による少子化改善の効果を解説。今月閣議決定された産業競争力会議の成長戦略を背景として、今後想定される政府の動向について語った。本稿ではその内容の一部を紹介する。

○過労死ライン"80時間"を死守すべき

今月閣議決定された政府が設置する産業競争力会議の成長戦略。その総論の一文にはこんな文言がある。「1人目の子どもがうまれた時に夫が家事・育児に参画しないと、第2子以降の出生がなされない傾向が極めて強い。重要なのは、男性の働き方改革である」。

さらに具体的施策では、「少子化の観点からは、わが国の人口分布等からも、早急に長時間労働是正の取り組みを強化することでより高い効果が得られることに留意すべきである」と長時間労働の是正について言及。また「36協定における時間外労働規制のあり方について、再検討を行う」という。

この点について小室氏は「閣議決定をされた施策は基本的にやるのだという認識を厚生労働省は持っていると実感している」とその効果を強調。その上で「36協定の上限をつけるなら、過労死ラインの80時間は死守すべき」と主張した。この"80時間"という時間は「健康障害の発症1カ月前に2~6カ月平均で月80時間を越える時間外労働をした場合、(労働と)発症との関連性は強い」とした、厚労省の労災認定の基準に準じている。

日本の労働時間上限は月間45時間。しかし「36協定」と呼ばれる特別条項を労使で結べば、1年間に6カ月間までは別途上限が設定できる。小室氏によれば「月間200時間」などという条項を定めている企業もあり、この問題を改善することが、長時間労働是正につながると考えているそうだ。

○時間外労働の上限設定を阻んでいた5つの障壁、今なら乗り越えられる

36協定の上限設定を80時間とすることは可能なのだろうか。これまで経済団体などからは「企業ごとに事情が異なる」「企業の自主的な取り組みが大事」などといった声によって難しいとされてきた。しかし小室氏は「どの指摘も過労死ラインの80時間以内で考えるべき。この時間内でビジネスにならないのであれば、経営者や管理職が無能なのだと思う。マネジメント能力の問題だ」と主張した。加えて、労働時間の上限を設定することで、エスカレートする顧客の要望から企業や従業員を守るといった経営者側のメリットもあるという。

さらに、36協定の上限設定がこれまで実現しなかった5つの障壁をあげた上で、今はその障壁が「乗り越えられる」と説明した。「(1)企業からの反対」については「現在は大多数の企業が上限設定に賛成で、"政府の旗振り"を期待している」とのこと。同業界内で1企業だけが労働時間を短くするのには、勇気がいるからだ。

次に「(2)大手企業の競争力低下への懸念」については、「むしろ私生活でのインプットのなさ、人材多様性のなさにより、イノベーションが生まれないことこそが、競争力低下の真の原因だ」と主張。長時間労働が原因で離職され採用を繰り返すことのコストデメリットの方が大きいとして、「(3)残業で調整できなくなり雇用を増やす負担への懸念」も解消できるとした。

「(4)かくれ残業・サービス残業へ移行する懸念」も、多くの企業がICTを利用した勤怠管理に切り替えていることなどから解消可能。「(5)生活残業をしている労働者の収入減少懸念」も「残業削減が実現できた企業こそベースアップが実現できている」などとして、上限を決めることで収入を上げられると説明している。

○2年後の2018年施行へ

今年から施行された女性活躍推進法では、認定企業となるために「時間外労働・法定休日労働時間の平均が45時間未満であること」が必要とされている。小室氏は「時間外労働の対策を始めている企業も多く、上限設定の障壁となっていた要因のほとんどは、今このタイミングならば乗り越えることが可能」と訴えた。"今このタイミング"とは、今すぐ法律改正に動いたとして、2年後の2018年施行を目指すということだ。

同フォーラムでは、40の企業や自治体が「労働時間革命宣言」と題して社会全体での脱長時間労働に賛同した。長時間労働是正に関する政府・企業の今後の動きが注目される。
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