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2016年05月10日

妊娠中、夫婦の営みはOK? 「その質問自体がネガティブ」と言う訳は?

提供元: マイナビニュース

妊娠を機に女性の身体や生活は大きく変わるもの。夫婦と言えど、妊娠前とは同じようにスキンシップをはかれないこともあるだろう。そのひとつとして、「妊娠中に性交渉をしても大丈夫? 」という疑問を抱く人は多いようだ。しかし、日本家族計画協会理事長である北村邦夫先生は、「その質問自体がネガティブ。もっと自由に"セックス"を捉えてほしい」と指摘する。その理由をうかがった。

○流産・早産を誘発するまでの影響はない

そもそも、なぜ妊娠中の性交渉が疑問視されるのか。その大きな理由として、精液中に含まれる「プロスタグランジン」には子宮を収縮させる働きがあるため、流産・早産を誘発する恐れがあるということだろう。しかし、北村先生によると流産・早産を誘発ほどの影響力はないという。

もちろん、流産・早産の既往や不正出血、お腹が張るなど通常とは異なる状況であれば、性交渉は控える必要がある。「妊娠ということだけで性交渉を危惧する必要はありません。ただし、お腹が大きいことを考えると負担がかかる体位は避けるべきであり、お互いの意思を尊重し、側位など無理のない体位を心がけてください」と北村先生は言う。

また、目に見える身体の変化だけでなく、ホルモンの働きから女性の性欲が減退する傾向があるのも確かだ。男性ホルモンのひとつである「テストステロン」は"性欲ホルモン"とも称されており、このホルモンは女性にも存在している。しかし、妊娠中は「エストロゲン」や「プロゲステロン」などの女性ホルモンが高まり、相対的にテストステロンが抑制されてしまう。その影響で「妊娠中に性欲が減退した」と感じる妊婦は少なくない。ただし、この傾向には個人差があると北村先生は説明する。

「このテストステロンは、男性は主に睾丸(精巣)と副腎で分泌されて20歳くらいでピークを迎えます。一方女性は主に卵巣と副腎で分泌され、60歳になるまで分泌量を維持し、その後、減少します。男性の場合、例えば精巣がん等で精巣を摘出すると、テストステロンの分泌量は減りますが、それでも高いレベルで性交渉を維持するという人もいます。それはどういう人かというと、手術をする前まで性交渉が活発であったため、その記憶が脳に留まっていたからと考えられます。『性は脳なり』という言葉があるように、ホルモンだけでは説明できないわけです」(北村先生)。

○「生殖のための行為」だけじゃない

妊娠中も性交渉は可能だが、北村先生は「もっと自由に性交渉=セックスを捉えてほしい」という。日本家族計画協会が2014年に実施した「第7回 男女の生活と意識に関する調査」(満16~49歳の男女3,000人が対象、有効回答数は1,134)によると、1カ月以上性交渉がない(セックスレス)夫婦は44.6%にもなり、その理由に「妊娠中・出産後何となく」と答える人が多いという結果となった。つまり、妊娠中にどのようにスキンシップをはかるかで、その後の夫婦関係も変わってくると言っても過言ではないだろう。

「"医学の神様"とも称されるヒポクラテスはその昔、『性交渉とは生殖のための行為』と提唱しました。それが綿綿(めんめん)と医療従事者たちに影響を及ぼしているのは事実でしょう。そうなると、妊娠中の性交渉は目的を持たないことになるかもしれません。ですが、私は性交渉=セックスには3つの要素があると考えています。子どもをつくる"生殖"、生きる活力源となる"快楽"、そして、人間関係を支える"連帯"です。セックスが生殖だけ、性器の結合だけに向けられることに、大きな問題があるのではないでしょうか」(北村先生)。

つまり、性器の結合だけでなくお互いの身体に触れたり言葉をかけあったりする行為もまた、お互いの連帯感を深める広義のセックスと捉えられていいのでは、と北村先生は提唱している。

「一般的に男性の方が性欲が高い傾向があり、また、妊娠中は女性の性欲が減退する傾向があるため、性欲が同じレベルではないこともあるでしょう。連帯感を高めるセックスには、相手への気遣いや合意が必要です。『今日は難しそうだな』と思ったら、『手をつないで眠ろうよ』という声かけをしてみてもいいでしょう。そうした広義なセックスにもっと積極的になっていただきたい」(北村先生)。

※写真はイメージで本文とは関係ありません

○記事監修: 北村邦夫

群馬県渋川市に生まれ。自治医科大学を一期生として卒業後、群馬県庁に在籍するかたわら、群馬大学医学部産科婦人科教室で臨床を学ぶ。昭和63年(1988)から日本家族計画協会クリニック所長。現在、日本家族計画協会理事長・家族計画研究センター所長、日本思春期学会監事、日本母性衛生学会常務理事など。『ティーンズ・ボディーブック(新装改訂版)』(中央公論新社)、『入門百科プラス 女の子、はじめます。』(小学館)など著書多数。現在、毎日新聞で「Dr北村が語る現代思春期」、中央公論新社web KERAKUにおいて「Dr北村の人"性"相談」を連載中。
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