camilyを便利に使おう

3つの質問に答えて、
自分にあった記事リストにしよう

会員登録はいりません

  • 1
  • 2
  • 3

2016年04月28日

騒音だけじゃない! 「保育園vs近隣住民」のトラブル例に学ぶべきこと

提供元: パピマミ

騒音だけじゃない! 「保育園vs近隣住民」のトラブル例に学ぶべきこと 【女性からのご相談】
千葉県で、住民の反対によって保育園の建設が中止になってしまいました。ひどいと思います。

私はまだ学生で、結婚も妊娠もしていません。でも、いい歳の大人が子どもに対して冷たいのはどうしても理解できません。

自分たちだけ、快適に暮らせればそれでいいのでしょうか? 誰でも子ども時代は、泣き声や騒ぐ声が、うるさい存在だったのではないでしょうか?

●A. 意外に寛容なアンケート結果。一方では「騒音」以外の反対理由も。

ご相談ありがとうございます、ライターの月極姫です。

件のニュースにおいて、保育園建設反対の主な理由は「子どもの声、騒音」と捉えられがちですが、実際のところはどうなのでしょうか?

まずこのニュースを受けて、パピマミのサイト上で以下のようなアンケートを実施してみました。

●もし自宅のすぐ近くで「保育園建設」の話が持ち上がったら、どうしますか?

・1位:子どもの声をうるさいと感じることはあるが、子どもたちのためを思うと反対しないと思う……41%(267人)
・2位:子どもの声をうるさいと感じないため、反対しないと思う……30%(198人)
・3位:子どもの声がうるさいのは仕方がないと思うが、保育園側や建設会社側の説明が不足していた場合、反対すると思う……18%(118人)
・4位:騒音以外の理由(保護者の送迎時に道路が混雑する、そもそも母親が働くことに反対、など)で、反対すると思う……7%(47人)
・5位:子どもの声は実際にうるさいので、反対すると思う……3%(21人)

※有効回答者数:651人
※集計期間:2016年4月18日〜2016年4月20日

「反対はしない」という意見が71% を占める結果となりました。

一方で、「騒音以外の理由で反対すると思う」と回答された方も2割弱いらっしゃいます。「うるさいから、保育園反対」という単純な構造ではないのかもしれません。

実は、千葉の一件は誰にとっても人ごとではありません。裁判沙汰になるような大事件から日常的なトラブルまで、保育園vs近隣住民のトラブルは全国津々浦々で頻発しているのです。

●逮捕者が出たケースも……全国・世界で起きている園vs住民のトラブル

【東京都世田谷区】
2016年現在、日本一待機児童数が多いのが世田谷区。しかし、開園予定の認可型保育園のうち半数近くが住民による建設反対運動の対象となっており、工事は進捗していない。

【神戸市の某保育所】
近隣住民とのトラブルが訴訟に発展。保育園の近くにドクロの絵が描かれた看板を貼られるなど、地域住民による嫌がらせ がエスカレートした。

【2014年、東京都国分寺】
「子どもの遊ぶ声がうるさい」という理由で、園児の保護者を手斧で脅した男が逮捕される。ケガ人等は出なかったが、容疑者はこの事件を起こす前に、5年ほど前から「保護者のマナーが悪い」「子どもの声がうるさい」と市に苦情を言ったり、保育園に脅迫めいた電話をかけていた。

【2008年、ドイツ】
2つの幼稚園に対して、高等行政裁判所から閉鎖及び移転の命令が下された。地域住民から「騒音」へのクレームがあり、判決が出た当時は「住宅地の静けさを侵した園側に非がある」という判断だったが、世論がこれを激しく批判 。3年後には「子どもの声を騒音として扱ってはいけない」という条例が出された。

大きく報道されているもの以外にも、さまざまなトラブルが起こっています。

『目の前の幼稚園は駐車場が狭いようで、親が堂々と違法駐車 していくのでクレームの電話を入れてやった。園バスもあるのに、車で送迎する親がいるのがまずわからない』(北海道・50代主婦)

『近所の保育園の玄関で立ち話をしているママさんたちがたくさんいる。全然わが子のことを見てないから、子どもが除雪車に近づいたり見ている方がヒヤヒヤ。ママさんの集団に文句を言ったら微妙な反応だったので、保育園に電話した』(岩手県・40代会社員)

『近所の病院に隣接された保育園なんだけど、無認可なんでしょうか? 壁が薄く、一般家屋を改造した程度の設備。とにかく声がうるさくて、夜遅くまで子どもたちがいるので何度か苦情を言っている。数年経ってしまったが、このまま行くと出るところまで出なくちゃいけないのかな?』(北海道・60代無職)

さまざまなトラブル事例を見ると、関係者がお互いに少しずつ譲歩する以外、解決策が無いように思われます。

●人ごと、では解決しない。関わるすべての人々に求められる「歩み寄り」

それでは、保育園vs住民のトラブルを解決するためには、具体的にどのように歩み寄りを進めればよいのでしょうか? 過去の事例を鑑みて、筆者なりにまとめてみました。

●経営者側

トップダウンで「ここに建設することになったから」で、先にそこに住んでいた人たちが納得するわけがありません。

地域住民と事前、事後のコミュニケーションを密に行い、地形や交通量の調査等を入念に行った上で、慎重な対処が求められます。基本的に、園側から地域に溶け込む努力 を続けないと理解しあうのは困難と思われます。

・深夜勤務等で、日中に睡眠をとらなければ健康を害してしまう人がいることを認識するべき。また、高齢化社会においては、介護する側、される側への配慮も必須。
・駐車場のスペースや通園バス、防音設備等を充実させ、保護者へのマナー指導を徹底する。
・子どもやその声に対して好意的になれない方、税金の用途についてシビアな意見を持つ方に、保育園を理解してもらうための気配りと啓蒙努力が必要である。

●住民側

女性の社会進出が当たり前となり、夫婦共働きも増え、待機児童があふれている現在、保育園の建設は急務です。

子どもたちの間の経済格差が深刻な問題となっており、働かざるを得ない保護者も多く存在します。

保育園建設に反対される背景には切実な理由があると思われますが、少子化の改善のためにも、「不快だから建てるな」ではなく、「どうしたら不快に感じず、共存できるか」 という寛容さで話し合いに臨む態度が望まれます。

・園側、建設者側との話し合いには積極的に応じる。

・園、子ども、保護者に関して「知る努力」も必要である。

・土地や建物の構造上、地域住民や子どもたちの安全に問題がある場合は改善や撤回を求めてもやむを得ないが、子どもに対する感情的な拒絶は禍根を残し、その土地のイメージダウンにもつながるので注意。

●保護者&子ども側

興味深いことに、子どもの声を「騒音」と感じる方の中には「知っている子どもの声なら、さほどうるさく感じない」 という意見が多いのです。

あなたとあなたの子どもが、地域住民にとって「どこかの馬の骨かわからない親子」ではなく「よく見かける元気でかわいい子どもと、マナーの良い親御さん」になれるよう、努力が必要です。

・園の近所の人に会ったら、親子ともども自分からあいさつを。あいさつできる年齢になったら、指導するのは先生だけではなく、親の仕事である。注意されたら素直に謝り、直そうとするなど、基本的なしつけに「忙しいから」という言い訳は通用しないと心得る。

・人間は感情の動物! たとえ保育中に起こったトラブルであっても知らん顔はタブー。住民からのクレームに対しては自分も頭を下げる心がけを忘れずに。

・送迎中の違法駐車、路上でのおしゃべりは大丈夫か? 危険な場面で、肝心な子どもから目を離していないか? クレームの原因は子どもたちばかりではない。親のマナー違反が園の存続に関わるかも 、という自覚を持って。

福岡県博多区の「隅田保育園」や、住民とのトラブルを乗り越えて開園し、テレビ番組で紹介された東京都世田谷区太子堂地区の保育園など、実際に歩み寄りで調和した好事例 もたくさんあります。

多くは園側が積極的に地域との交流の機会を設け、騒音対策として防音壁を設置した園もあります。

意見やクレームを吸い上げて、最初は好意的でなかった人たちとも見事に調和しているのです。このような事例では、どの立場の方々もそれぞれに努力しているのが特徴です。

●過去にあった「子どもの楽園」。世界が称賛した幕末の子育てとは

『逝きし世の面影』という書籍に、意外な事実が書かれています。

筆者個人的には「児童福祉は時代とともに充実してきたものであって、昔の子どもたちはあまりよい扱いを受けていなかった」というイメージを持っていたのですが、偏見だったのかもしれません。

この本には、イギリスからの初代駐日大使オールコックら、来日した外国人が見た、日本の幕末における「子どもたちの楽園」の様子が書かれています。

彼らの言葉を抜粋します。

『路上のいたるところ子どもがわいわい騒ぎ、女ばかりか男も赤ん坊をあやしていた』(オールコック)
『私は日本が子どもの天国であることを繰り返さざるを得ない。世界中で日本ほど、子どもが親切に取り扱われ、子どものために深い注意が払われる国はない。ニコニコしているところから判断すると、子どもたちは朝から晩まで幸福であるらしい』(モース)

そもそも幕末の日本には現代の認可保育園のようなものは存在せず、当然ながら社会進出している女性もごく少数だったようです。

しかし、男も女も、すべての人が子どもたちを慈しみ、元気よく遊ばせ、のびのびと過ごさせていた時代。諸外国からの訪問者を感動させるほど、生き生きと楽しそうな子どもたち。

たくさんの偉人を輩出した幕末の日本には、“子は宝”の精神があったようです。世界に誇るべき日本人の心を、現代になじむ形で甦らせることができたらステキだと思いませんか?

【参考文献】
・『逝きし世の面影』渡辺京二・著

●ライター/月極姫(フリーライター)
 
他の記事を読む

子育ての記事

    ©camily 働くママとパパの仕事と育児をもっと自由に