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2016年07月11日

出産を経て、広告業界から鍼灸の世界へ 「人が健康であること」をサポートしたい! 学業と仕事のデュアル生活を送るワーママ

提供元: laxic

出産を経て、広告業界から鍼灸の世界へ <br />「人が健康であること」をサポートしたい! 学業と仕事のデュアル生活を送るワーママ

農業分野を大学院で学んだあと広告業界へ
「大事なこと」や「いいもの」をもっと人に知って欲しいと思った

荒川あゆみさんと娘さん

ラシク編集長 宮﨑(以下、宮﨑):大学時代は農学部に所属していらっしゃったと伺いました。その後、仕事として広告の分野を選んだのはなぜですか?

荒川さん(以下、敬称略 荒川):私の学生時代は、学業や研究に勤しむ生活というよりは、友人と小さな会社をつくってみたり、学生会議で海外に行ったり、学生団体を立ち上げたりと、それ以外のことにバタバタと忙しい生活を送っていました。
当時、国際協力や環境保全などの社会課題に対して活動をしている学生団体が集まる会議の事務局をしていたのですが、その活動を通して、世の中にはさまざまな問題・課題があり、一生懸命取り組んでいる人たちがたくさんいるけれども、それってあまり知られてないな、と思ったのです。

そこで感じたのは、当たり前のことなのですが、「大事なことだから、みんなが知っているというわけではない」という事実でした。ではその「大事なこと」や、それに「取り組んでいる人たち」のことを、どうやったら多くの人に知ってもらうことができるんだろうと考えた時に、出てきたのがメディア・広告という道でした。

大学院では、農業分野でのICTの活用、特に農地のリアルタイム情報をどう活かすかについての研究をしていました。農地の情報を農作物の栽培に活かすことはもちろんですが、その情報を消費者まで届けるにはどうするか、その情報にニーズはあるか、などをテーマとしていたので、それが広告やマーケティングへの興味に繋がっていきました。

宮﨑:その後、広告会社で5年ほど勤務されるわけですね。実際、妊娠するまではどのように働いていたのでしょうか。

荒川:入社当初から中央省庁の広報や広告を扱う部署で働いておりまして、学生時代からの関心に比較的近いことを担当していました。忙しいし長時間勤務ではありましたが、面白さも感じていたのです。そんな時に起こったのが東日本大震災でした。会社からは自宅待機するようにとの連絡があった中で、私が担当していたプロジェクトは止まることもなく、余震で揺れ続ける、ほとんど人がいない薄暗いオフィスで企画書を書いていました。その時に「自分はこのままでいいんだろうか?」と思ったのは事実です。次を考えようかとおぼろげに考えていた、2012年の春頃の健康診断で自分が若年性の緑内障であることが分かったのです。再検査をしてみたところ、既にかなり進行していて、これから10年は大丈夫だけれども、2〜30年後には目が見えなくなっている可能性もあるという話でした。

診断を受けた時はやはりショックでした。緑内障は珍しい病気ではありませんが、薬で進行を遅くすることは出来ても、現時点では治療法はありません。目が見えなくなったら、もうこの仕事は出来ない…そこから、「目が見えなくなってもできる仕事」を考えはじめたのです。そうやって浮かんできたのが「鍼灸」の仕事でした。

私は小さい頃に大きな病気して、東洋医学の先生にお世話になったんですね。実は高校3年生くらいまで医学部に行こうと思っていたんですが、その時も探していたのは東洋医学が勉強できる大学でした。今改めて振り返ると、昔から「東洋医学」が気になっていたんです(笑)。

結局、当時進路について深く考えた時にたどり着いた答えが、私は「病気」に興味があるわけではないということでした。それよりも「人が健康でいること」に興味があったのです。それに気づき、医学部には進学しませんでした。
自分の目の病気をきっかけに、もともと持っていた気持ちが出てきたのかもしれません。それからずっと「学校に行って鍼灸の資格を取ろう」と思っていました。

そんな気持ちもあったので、会社にはもう辞めますと伝えたことがあったのですが、その時に、「もう少しゆっくり考えてみたら」と別の部署への異動を勧められたんです。異動してみたら以前よりもゆとりが生まれるようになって、この生活なら働きながら学校に通って資格を取ることもできるかもしれないと考え始めた頃、妊娠が分かったんです。

子どもを預けて学校に行くなら納得できる道を
鍼灸の学校と仕事のデュアル生活をスタート

子どもと共に参加した会社での田植えツアーの様子

宮﨑:そのまま産休・育休を取得され、出産後に「キャリアを変えるのは今」と思ったのはどんな理由からですか?

荒川:まず、子どもがいながら学校で勉強できるタイミングはいつだろうと考えたんです。鍼灸の専門学校には夜間部と昼間部があって、卒業まで3年かかります。夜間部に行けるのは子どもが成長して…20年くらい後かもしれない。現実的なのは昼間部ですが、3年間も育休延長することはできないし、そもそも育休のままでは子どもを保育園に入れることもできません。
やっぱり今は学校に行くタイミングではないのかもしれない。でも、子どもが大きくなるのには時間がかかり、年々病気は進行していく…。とりあえず入学試験だけは受けておこうと、産後1か月の時に試験と面接を受けました。その年の学費の振り込み期限まで、ゆっくり考えればいいと思ったのです。

宮﨑:学校に行くか行かないか考えている時に、育休プチMBAママボノ に参加されたと。ママボノでも、参加者の皆さんと「働く」ことについてすごく議論したと伺いました。

荒川:学校に行くにしても、復職するにしても、子育てとの両立になるので、働きながら子育てをしていこうと考えている人たちと触れ合って情報収集をしたかったんです。育休プチMBAやママボノの参加者の中には2人目の育休中の人もいて「子どもを預けてまでやりたい仕事かどうかを、すごく考えた」「人生で何年もない育児期間に仕事をするなら納得してやりたい」「この仕事でいいんだろうか?と迷いを抱えながらやるのは苦しい」とおっしゃっていました。

子どもを預けてまでして取り組むならば、自分が納得できることを、本当に必要なことをやりたいと強く思い、なんとなく会社に戻って、なんとなく時短で働く…という気にはなれませんでした。専門学校に学費を振り込み、前職には退職の連絡をしました。2015年4月から学校と新しい仕事、という生活を歩むことに決めたのです。

困難な状況も、逆手にとって楽しんで欲しい
だからこそ、自分もそう生きていく

宮﨑:現在は、午前中は学校、午後は仕事というデュアル生活を送られていますね。

荒川:はい、週6で午前中は学校に行き、午後は株式会社侍という、元プロ陸上選手の為末大さんの会社で14時〜18時まで週20時間働いています。学校が半日で終わるので、仕事をしないと保育園に預けることが難しいですし、少しずつでも稼いだ方が生活にもゆとりが持てますので。鍼灸は器用さなどによって合う・合わないの差がある技術だと聞いていましたので、鍼灸以外の仕事にもまた戻れるように、選択肢を増やすという意味もありました。現在侍では、高校生・大学生のアスリートへの教育プログラムづくり、企業のCSRプロジェクトなどに携わらせて頂いています。10人ほどの会社ですが、私自身が子育てをしながら資格を取ろうとしていることを応援してくださっていますし、困った時にはみんなが助け合える空気があるのですごく働きやすいです。
様々な支援制度はあるけど、みんなが助け合える「空気」がないという企業はたくさんあると思いますが、そういった制度はなくても「空気」があるということで、こんなに働きやすいのか!と実感する毎日です。

宮﨑:仕事・学校・子育てと、新しいことを3つやるという日々は大変ではないですか?

荒川:かえってメリハリがうまれて、それぞれの息抜きにそれぞれがなっている感じです。仕事に課題がある時は勉強に癒されるとか、学校の試験は子どもとのひと時があるから乗り切れる、そんな感じですね。また、学びたい時に学べるというのは、本当にうれしいことだなと思っています。

宮﨑:将来どんな働き方をしていきたいと思っていますか?

荒川:鍼灸の世界は、資格をとってもそれを仕事に出来る人は多くないと言われています。国家資格を取得した後も技術を学び経験を積んでいくことが必要で、この「修業期間」を経済的・精神的に乗り越える必要があります。「研修医」のようなシステムがあったらいいな、これを何とかしたいなという思いもあるのですが、まず自分自身が途中でくじけず一人前になるために、資格取得後も鍼灸師と会社員のデュアル生活を続けていこうと考えています。

子どもからお年寄りまで、「なんだか不調だけど…」という時に相談頂けるような存在になりたいです。様々な方に鍼灸を通じて元気になって頂いて、ちょっとずつ生活の質を上げるお手伝いができたらいいなと思います。

その先になると思いますが、海外で鍼灸師として働いてみたいです。最近はヨーロッパなどでかなり鍼灸が評価されています。多くは中国式の鍼なのですが、日本の鍼灸の魅力をもっと伝えられたらと思います。

宮﨑:子育てをしながら自分の人生をどうやって生きていきたいですか。

荒川:子どもに幸せでいて欲しいと願うなら、自分も幸せでないといけないなと思っています。子どもにこうなって欲しい!と思うことを親がやっていないのは違うなと。やりたいことに、やりたい時にチャレンジして欲しいし、困難な状況でもそれを逆手にとって楽しめるような生き方をして欲しい。そして、自分もそうやって生きていきたいと思います。

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