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2016年07月18日

大人が自然に子どもに寄り添える社会を。 保育を取り巻く課題に向き合うために起業という選択をした保育士

提供元: laxic

大人が自然に子どもに寄り添える社会を。 保育を取り巻く課題に向き合うために起業という選択をした保育士

保育士が疲れているという課題
「明日の保育をもっと楽しくする!」ために起業

キッズカラー代表取締役 雨宮みなみさん

宮﨑:保育士から起業家を目指した経緯を教えてください。
雨宮さん(以下・敬称略):様々な現場での保育経験を通し、働く現場としての課題を感じ始めました。保育士は子どもにとって非常に大きな存在であり、保育園で過ごす時期というのは、子どもにとって人生の土台となる時期。保育士も、子どもたちや保護者の方々への熱い思いを持ちながら仕事をしています。一方で、現場の保育士たちに求められるものは増えていき、現場は余裕がなく疲れてしまっている状況。子どものとなりで毎日長時間を共に過ごす保育士が疲れて余裕をなくしてしまっていたら、子どもたちにも影響が出てきてしまうのではないかと心配になりました。
保育園での仕事は結婚を機に退職したのですが、その時には起業を決意していました。キッズカラーは夫婦で立ち上げました。当時は、親向けの子育て支援情報はたくさん出てきていましたが、保育士を支援するものはほとんどなかったのです。知識と経験があればあるほど、こどもの育つ環境は広げられると思うのですが、毎日目の前のことに精一杯だと、ふと顔をあげて視野を広げることすら難しくなってしまいます。だからこそ、情報発信を元に、目の前で悩んでいる保育士さんの視野が広がり、肩の力がスッと抜けるようなきっかけを作っていくことができたら、と。

そこでまず、サイト「HoiClue♪」(ほいくる)を開発し、保育の現場で私の中に蓄積されていた遊びや保育のノウハウを、サイトにアウトプットしていきました。そこがキッズカラーのスタートでした。コンセプトは「明日の保育をもっと楽しくする」です。見ているだけで子どもの姿が思い浮かんで、おもわずくっくと笑ってしまうような。ちょっとでも不安や負担が意欲や自信に繋がるような。そんなサイトを目指して作り続けました。

保育士さんと子ども達が創り出すたくさんの「遊び」をプラットフォーム化して、いろんな遊びが集まればそれはすごく楽しいことだと思ったんです。いろんな子どもの世界観が詰まっていて、大人自身もワクワクできるものなのですから。

子どもに失礼のない社会に
キッズカラーが考える「保育」とは

宮﨑:キッズカラーが掲げる「子どもに失礼のない社会」とはどのようなイメージですか?
雨宮:保育の現場はとても忙しく、保育園に勤務していたころの私は、「そもそも保育って何だろう」と立ち止まってあらためて考える余裕がなかったんです。キッズカラーを立ち上げるに当たって「保育とは」ということをとことん考え、字のままに、「育ちを保つのが保育なのではないか」と。

子どもは本来育って伸びていく力を備えていますが、どうしても世の中は大人の都合で動いている部分が大きく、子どもの育ちが制限を受けてしまうこともあります。大人が子どもを育てるというよりも、小さくて大きい子どもの姿がしっかりと社会に在り続けていて、お互いを自然と生かし合いながら共に過ごしていけるような社会が理想なのではないかと考えています。

保育の引き出しを提供し、
保育のノウハウを次世代に引き継ぐ仕組みづくり

月2回 キッズカラーのオフォスで開催する「コドモガラクタラボ」の様子

宮﨑:「HoiClue♪」のほかに展開しているサービスを教えてください。
雨宮:子どもと楽しめる遊びのタネや、保育や子育てに関する情報を保育士が掲載しているのが「HoiClue♪」。立ち上げ時に、私が持つ数百の遊びや情報をアウトプットしてきたのですが、他の保育士の方々にもタネを共有してもらえたら、どんなにすごい数になるだろうと。皆さんとアイデアを共有する時にウェブサイトよりもアプリの方が投稿しやすいのではないかと考えて生まれたのが、「ほいくるアプリ」です。保育や遊びを楽しく記録したり、みんなの遊びの写真を共有するアプリになっています。子どもたちが作ったものなどの写真を投稿される方が多いので、臨場感があるんです。プライバシーは守られるよう、公開OKな写真だけ掲載するようなシステムも整えています。

もう1つは、子どもと楽しんだ遊びを投稿できる「MamaClue♪」(ままくる)です。例えば出産や育児を理由に仕事を辞めた潜在保育士の方は、たくさんの遊びの引き出しや保育の経験、専門性を持っています。そんな方々に、ライターのお仕事として日々のお子さんとの遊びの様子を記事にして投稿していただき、原稿料をお支払いしています。貴重な保育の経験を次世代に伝えていくという役割も担えたらと考えています。

また、月に2回、キッズカラーのオフィスで「コドモガラクタラボ」というイベントを開催しています。一見ガラクタのような身近な廃材を使って、遊んだり工作をしたりします。私自身も子どもを身近に感じる機会として大切にしています。その作品を「HoiClue♪」に掲載することもあります。

宮﨑:保育士さん向けのサイトとはいえ、子育て中のママにとっても色々な遊びを知ることができてうれしいですね。
雨宮:保育士さん、学生さん、学童保育の先生など子どもに関わる方々、そして子育て中の方々にも利用していただいていますね。また、外から見た保育の環境、色々な視点も知りたいので、私も取材にも出かけ、得た情報を記事にしています。

現場を離れて約6年
保育を取り巻く環境はどうなっている?

「HoiClue♪」でもよく登場する雨宮さんが描くイラスト

宮﨑:ここ最近、保育を取り巻く環境や問題も、随分注目されてきていますよね。
雨宮:保活で保育園に子どもが入れなかったママが投稿したブログがきっかけで、保育やそれを取り巻く環境について、今までになく世の中の注目を集めているのではないかと思います。保育園が増えないのは保育士が足りないからで、それは保育士の待遇が悪いからだと。しかしせっかく注目されているのだから、保育士の持つ専門性や価値をよりよい形で発信していくチャンスにしていけたらいいなあと思います。

宮﨑:子育て中の保育士や男性保育士が働き続ける環境についてはどうでしょうか。
雨宮:意欲のある方々が働き続けられない環境があるとしたら、それはもったいないですよね。妊娠・出産を経験したからこそ、知っていることや寄り添えることがある。それが出産などで途切れてしまうのはとてももったいない。出産を経ると、自分の子どもの預け先の問題も大きいですね。自分が働く園に預けている方もいますが、職場と自分の子どもの預け先が一緒というのは、メリットもデメリットもそれぞれだと思います。勤務時間上、複数の保育サービスを併用する二重保育が必要な場合もあり、自分の子どもの保育料と給料のバランスの問題も出てくると聞きました。

今の自分だったら、もっと違っていたことがある
母になった今、保育士を振り返る

宮﨑:お子さんが1歳8ヵ月になられ、母として保育士という仕事を振り返ってみてどんなことを感じますか?
雨宮:保育士として子どもに関わるのと、子育ては、全く違いましたね。保育園で働いていた時も、子どもたちとお母さんたちにとっての“ベスト”を常に考えていましたが、自分が子育てを経験している今だったら、もっとほかの声がけもできたかもしれないと思います。

親も保育士も、例えば登園時などは忙しくてゆっくりコミュニケーションが取れないこともありますが、お互いを少しずつ知り、「子どもの育ち」という共通の目的に向かって一緒に楽しんでいける余裕やゆとりをもっと自然に作れたら、子どもを取り巻く環境もよりやわらかくなるのではないかと感じます。

宮﨑:保育士の立場として、お母さん、お父さんたちに「忙しい毎日だけれど、こんなふうにしてもらえたら嬉しいな」ということってありますか?
雨宮:保育現場にいた時は、保育士が100パーセントの力を出して子どもたちに向き合っていても、お母さんの数パーセントの力によって状況が大きく変わる、とよく先輩保育士から聞かされていました。

新人時代に、こんなことがあったんです。4歳の男の子が、家でも園でも特別な理由が見当たらないのに、イライラしたり怒りっぽくなったりしている様子が見られて。ご家庭と一緒に原因を色々考えていたところ、2週間ほど前からお母さんのお仕事の関係で朝家を出るのが15分ほど早くなっていたんです。「大人にとっては“たった15分”だけど、子どもにとっては理由がよくわからないまま急かされてモヤモヤする…ということもあるのかな?」という話になり、お母さんもお子さんに説明をし、時計にしるしをつけて「ここに針が来たら出発するよ」という仕掛けを作るなど、お忙しい中でも工夫をしてくださったんです。お子さんはすぐに落ち着き始め、「お母さんの力って大きい」と感じた出来事でした。

だから、何かいつもと違うかな?と感じた時はいつもよりちょっと意識してお子さんに目を向けてみたり、少し丁寧に関わってみたりすることで、子どもに寄り添えることもあるのかなと思います。

宮﨑:小さい時には「まだ分からないから」、小学生ぐらいになると「もう分かるだろう」と親の状況の説明をしないで過ごしてしまうことも多いですが、向き合って説明することも大事なんですね。

子どもたちの心に
大人が自然に近づくきっかけを作りたい

夏にオススメの遊び 「ストロー魚つり」

宮﨑:雨宮さんが「保育が楽しい」と感じるのはどんな瞬間ですか?
雨宮:やっぱり、子どもと共鳴したときですねえ…。お互いが素直に一緒に楽しめているようなときです。例えば、「今日はいつもと違うやり方でこれをやっちゃおうか!?」なんていう風に子どもたちと作戦を立てるようなときは、本当にワクワク、にやにやしちゃいます。

子どもはまだ大人という時代を経験していませんが、大人は子ども時代を経験してきているので、ふとしたきっかけで子どもの頃の気持ちがよみがえるんですよね。「HoiClue♪」でも、遊びなどを提供することで、大人が子どもの心に近づくきっかけを作れたらいいなあと思います。義務ではなく、自然に楽しみながら子どもに寄り添える瞬間を生み出していけたらいいですね。

宮﨑:今後、事業をどのように展開していきたいですか?
雨宮:私個人としては、保育の現場を現在離れているからこそ見えてきたことなどを、広く共有していけたらと思います。例えば、他園の様子や保育の色々な形って、1つの園で働いているとなかなか情報が入りにくいので、そういったことも含めて保育士さんたちと共有していきたいです。保育も、遊びも、“答え”ってないから、本当に幅広くて奥深い。そして、「HoiClue♪」を使ってくれる保育士さんたちがもっと増えて、保育と遊びのプラットホームをどんどん広げいくことから、次のステップに進みたいと考えています。いずれは、保育園を作るのも夢です。

宮﨑:最後に、夏におすすめの遊びを1つ教えてください。
雨宮:ストローとはさみがあればできる手作りおもちゃストロー魚つりなどはいかがでしょうか?おうちでも、家庭用プールやお風呂に浮かべてすくって楽しめます(小さいお子さんは誤飲に注意してくださいね)。
宮﨑:タコや、イカ、エビなど色々簡単に作れるんですね。季節感もあって楽しめそうです。何かを作って遊ぼう!と気負ってしまうと、なかなか難しくもあるのですが、とっても簡単にできそうなので、気負わずに楽しみながら子どもの心に近づいて寄り添いたいなと思います。

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